いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

お知らせをさせてください。モデリング😊に「4つのコース」を設置しました。度々ご質問がありました金額も簡潔に整理しましたので、ご興味ある方は、下記URLから入ってみて下さい。(下段は、話題の人工知能ChatGPTに教えてもらったので実験的につくってみました。)

https://nagao-atelier.com
https://nagaoatelier.wixsite.com/modering

ブルガリホテル上海

ブルガリホテル上海は、上海中心を流れる川(黄浦江)の近くに位置する開発プロシェクトです。

最大の特徴は、100年ほど前に建設された商工会議所を再生した官民連携事業にあります。

手順としてまず、用地と建物は上海市が所有したまま、開発会社が建物の再生を行います。

レストランや舞踏室などの運営は、ブルガリホテルが行い、ランドスケープは、官民の境界をつくらず、計画地全体が一体となるようにデザインされています。

隣接する新設高層ビルには、ブルガリが運営するホテルとマンションが入っています。

周辺低層ビルには、商業施設が入り、再生された建築物は分散した配置となっていますが、ランドスケープがそれらを一体的に繋き、ブルガリブランドの統合の役割を担っています。

旧商工会議所の正面にある芝生広場には、1845年に始まった租界時代に外国人居住地域で好んで使われた樹木の中から、歴史建築が積み重ねてきた時間を共有するランドスケープとして樹齢の高い大径木が選ばれ使用されています。

同時に、川の街として水上交通で栄えた賑わいを、写しとるため芝生広場の周りの舗装を揺らぐ水面を模したデザインとしています。

近年の中国は、建物自体の差異化のために、新奇さやアイコニックさを競ってきました。

一方でこのような、中華民国時代に最も華やかだった上海固有の時間軸が、人の記憶とともに街の価値を高める側面も持ち合わせているのです。

時間軸と再開発

再開発において、従来のようなスクラップ&ビルドではなく、歴史的建築などを生かして地域の価値を創造させることは、持続可能な社会をめさす今の社会に相応しいのかもしれません。

ランドスケープ分野では、もともと設計の際、土地の歴史や自然環境、文化的記憶などを徹底的に調査することから始めるのが一般的で、場所の歴史に敬意を払って行なわれます。

しかし記憶以外で、物理的に残されたものはそれほど多くはなく、時間軸を具現化するためには、綿密な物語をつくることが必要です。

塀の一部や灯篭、発掘された埋土種子など、その場所にわずかに残る要素を手掛かりに、過去から未来へ場所をつなぎます。

このような手順から、建築物が残されている場合、建築物自体が、ランドスケープの最も重要な要素となっていることが分かります。

このため、時間軸を込めた場所の継承は、建物とランドスケープ、双方の関係者の協働が大事になってくると考えられます。

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