いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
現在、完成形を視覚化することで、そこにたどり着くためのより良い道筋が見えてくるのではないかと考え、モノづくりを「3Dモデリングから始める」試みを行っております。ご興味ある方は下記リンクよりご覧になってみてください。
Detroit Future City
都市をたたむ計画として、近年注目されている米国デトロイトのDetroit Future Cityがあります。
デトロイトは、1916年頃から自動車産業による雇用と自由に惹きつけられた、南部の黒人の大量移住によって繁栄します。
しかし政府の地域評価システムなどにより、黒人はごく限られた地区に押し込められます。
1948年の裁判で、黒人が白人地区に居住することを許されてからは、黒人居住地区が広がるとともに、ほとんどの白人は街を去ることとなります。
このような人種間でのいがみ合いがあったため市への支援も少なくなります。
このため黒人都市としての復活を誇示するために、70年代から80年代にかけダウンタウンの開発・自動車産業の誘致、90年代にはいると、スタジアムやカジノを建設します。
すると、居住地区では教育・警察・消防などの予算もカットされ荒廃し、人口も200 万から70 万になり、街にはマンハッタンと同じ面積の空き地ができることとなるのです。
さらに、産業を多様化しなかったため、製造業の不振の影響を直に受け、2013年にデトロイトは財政破綻します。
Detroit Future Cityとは、民間主導で、このように人口に対して空地面積が増えていく街に、緑地や農業用地を設置し、地区単位で積極的に非都市をつくる試みのことです。
縮小する時こそ将来ビジョンが必要
石巻市のローズガーデンも手法が似ていて、雄勝ガーデンパーク構想という住民主導の計画を行政に提案し、現在は地域で活動を行なう団体が連携ながら実践しています。
大きな都市をつくるには、まずマスタープランとして、パズルのように場所ごとの役割を決めていきます。
一方、街を小さくするためには、場所ごとの役割を転換する必要があります。
コンパクトシテイ政策では、非集約エリアは緑色になることが多いですが、同じ緑でも、コミュニティガーデン、市民農園、小規模公園、粗放管理地、里山、農地、森林など様々です。
場所の役割ごとで、必要な主体数や管理方法も異なるので、細やかな計画が必要になります。
緑は、誰もが参加できるユニバーサルなツールですが、良い状態で持続させるには、費用もかかるし、多様な主体との合意形成が必要になるため大変な活動となります。
このため単なる空地の利活用ということに留まらない高次元の目的が大事となります。
都市に限らず、何かをたたむ時、縮小する時こそ将来像が必要であり、将来像があることで、たたむこと、縮小することを前向きに考えることができるようになるのです。
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