容量の少ない箱に、色々なカタチをしたモノをたくさん詰め込むと、どこかにシワがより、そこから裂けてしまいます。
それは街でも同じです。
- 遊んでいる子供を見たコトがない公園の滑り台とブランコ。
- 近所のお店が次々に閉店し、一日に二本だけのバスを使っての買い物。
- 地区計画と協定により二世帯住宅に建て替えられない地域。
- 学校閉鎖による人口の流出。空き家の増加に伴う治安の悪化。
のような混沌とした状態の街もこれから増加していくことが予想されます。なぜなら、造っては壊しを繰りかえすフロー型で造られてきた戦後の街では、
- 経年劣化していく建物、工作物、遊具など
- 時間とともに使い方(ニーズ)が変化していく建物や公園など
を受け入れて"利用・活用"する手段を持っていないからです。このような出来事は、一見すると街自体が衰退しているように思えるのですが、実際はそうではなく、
新たな条件が生まれているのに、街がその条件をうまく取り込めていない。
だけなのです。そこで、これらに対応するために、これからの街では、マネジメント(経営、組織の管理)の役割がとても大事になります。フロー型の街が、新しい条件をうまく取り込めないのには理由があります。いままでの日本の街づくりの現場には、
組織として体制を整え、規則をつくり、資金調達をして街を運営する。
というマネジメントの発想がありませんでした。具体的には、いままで街を構成していた"インフラ、道路、公園、住宅、各施設"などは、利用者のニーズに伴い使用方法が"変化"しなければならないのに、
変える"主体"が存在しなかった。
ということです。不備があったわけではありません。これから整える必要があるということです。
- 開発業者は、つくること、販売することが仕事。
- 行政は、道路、公園の管理が仕事。
マネジメントは行いません。日本では、街全体をマネジメントする主体は、ほぼ存在していません。ほぼというのは、
主体が存在しないことに気づいた少数のヒトが普及活動を始めているからです。
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