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地域や時代背景の違い
公園や庭園、都市の緑地に求められるのは、ただ綺麗に管理されていることだけではなく、使いやすさや環境との関係も含めて、空間全体をどのようにつくるのか。
そんな視点で考える分野が、ランドスケープアーキテクチャです。
実はこのランドスケープアーキテクチャ、国や都市によって性格が大きく異なり、ヨーロッパの都市を見ていくと、その違いがとても分かりやすく表れています。
例えば、ミラノやローマなどのイタリアの都市では、「公園」よりも「広場」が街の中心にあります。
古代ローマの民主主義社会、そして19世紀の新古典主義の影響を受け、人が集い、語り合い、社会が動くための“都市の舞台”として、広場が育まれてきました。
一方、パリは少し様子が違います。
パリの公園や庭園の多くは、もともと貴族の庭が起源です。
バロック様式の装飾的な庭園文化と市民革命を経て、「自然を美しく管理し演出する」空間が街へと広がっていきました。
ドイツ・ベルリンに目を向けると、さらに違った風景が見えますが、その代表的なのがティアガルテンです。
このティアガルテンとは、人の手をあまり加えず、自然そのものを楽しむスタイルが特徴です。
もともとは王の狩猟場だった場所を公園として開放したため、森の木々は自然な姿のまま、倒木もそのまま残されています。
森の合間には野草が混じる芝生広場があり、散策する人、野鳥を眺める人、芝生でビールを楽しむ人の姿もあり、自然と人との距離がとても近い公園です。
さらに北へ進むと、デンマークの首都コペンハーゲン。
その北部に位置するベルビュー・ビーチでは、幾何学を基調としたランドスケープが印象的です。
劇場やレストラン、リゾート施設、監視塔や更衣室に至るまで、その全体をデザインしたのは、スワンチェアなどで知られるアルネ・ヤコブセンです。
モダニズムの影響を受けたヤコブセンによる直線的な建築が、雲や波、砂浜といった有機的な自然の中に配置されています。
この風景は、パリの庭園のように自然を厳密に制御するわけでもなく、ベルリンのようにすべてを自然に委ねるわけでもない。
自然の中に、人が過ごすための「居場所」をそっと差し出している、そんな印象を受けます。
こうして見ていくと、イタリア、フランス、ドイツ、デンマークのランドスケープは、それぞれの歴史や思想と深く結びついていることが分かります。
地域や時代の背景が違えば、求められるランドスケープアーキテクチャも、少しずつ変わっていきます。
日本でも、自分たちの歴史や文化を改めて観察することで、いまの日本に合ったランドスケープアーキテクチャを改めて考えてみたいところです。
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