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フランスの色彩

フランスの色彩デザイナーであり、カラリストでもあるジャン・フィリップ・ランクロによる「色彩の地理学」。

「色彩の地理学」は、フランスの美しい街なみを紹介する写真集ではなく、伝統的な住宅を「色彩」から調査・分析し、地域には、地域の色があることを証明した学問書です。

この本では大きく、「色彩と住宅」「景観分析」「地方色の調査研究」の3つの内容で出来ていて、日本を含む世界の環境色彩の考え方が詰まっています。

例えば、「色彩と住宅」には、色彩と質感についての説明があります。

これはもともと、バウハウスで教えていたヨハネス・イッテンが、色彩を「①.色相」「②.明暗」「③.寒暖」「④.補色」「⑤.同時」「⑥.彩度」「⑦.面積」の7つの対比として分類していたことに、8つ目として、ランクロが「素材」対比を追加したことを示しています。

同じ色彩であっても、素材が柔らかい・硬い、表面が滑らか・粗面なのかなどによって印象は異なるとして。

色と素材は相互に依存していて、さらには同じ素材であっても、表面の光沢によってその見え方は異なるということです。

この素材との関係を明らかにした内容は、素材の質感に繊細な感覚を持つ日本人にとって、馴染みやすいものでした。

影響力

質感以外に、影響力についても示しています。

特に、白色の持つ影響力について、反射力は非常に強いため道路標識では頻繁に白が使われる一方で、白は目立ち過ぎる可能性があり、建築物の場合、すべての景観に適しているとは限らず、慎重に白を使わなくてはならないとしています。

現在の日本の景観計画の色彩基準では、山間部などの緑豊かな地区で、明度の高い白を制限する基準があるのもこの影響力の大きさを示している例です。

さらに、伝統的住宅の「全体的」な色彩と「部分的」な色彩へと続いていきます。

日本の環境色彩計画でいうところの基調色、補助色、強調色の分類に通じる内容となります。

「全体的」な色彩では、住宅外観の大きな部分を占める屋根や壁について、「部分的」な色彩では、屋根や壁以外の扉、窓枠や基礎部分などについて解説をしています。

建築物の色彩を理解するには、屋根や壁などの建物の大部分を占める色彩だけでは不十分であり、扉などの部分的に使われている色彩の重要性が示されています。

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