いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
のんびりの象徴
美味しくて・綺麗で・正しく・地球に負荷をかけない、スローフード運動。
1900年代に入った頃、イタリアでは、速度の進歩、つまり"速いこと"が、人間に幸福を与えるという意識が高まり、機械文明のもつスピード感を賛美して、様々な文化活動・芸術運動に展開されていきました。
それからやく80年後にスローフード宣言が、パリで行われることになるのですが、それは、ファストによる味覚の貧困化ではなく、スローによる味覚の発達にこそ、真の文化であるといったものでした。
このため、スローフード運動というと、ファストフードに反対した運動と思いがちですが、あくまで、新しい価値の提案として、位置づけられているようです。
やっぱり、大量生産・大量消費のフロー型社会と持続可能なストック型社会の構造と似ている気がします。
イタリアにあるスローフード協会のロゴマークは、のんびりの象徴"かたつむり"です。
食べ物を日常の軸として据えること。ゆっくり食事をとること。
丁寧に取り組む生産者から分けてもらうこと。おいしく調理されたものに感謝すること。など。。
文化が一夜にして完成しないように、ピエモンテ州の暮らしは、昔から、そんな風に紡がれてきたのですが、グローバル化とともに食を取り巻く状況は変化していき、この地の暮らしに脚光があたり、地域の伝統食や産地、生産者や料理をする人の姿勢、地域経済までをも含めて考察するような動きが、スローフード運動をきっかけに世界に広まっていくことになったのでした。
そのような経緯もあり、今日、スローフード協会本部のある街ブラ、そしてピエモンテ州全体に国内外から多くの美食家が訪れるようになったのです。
スローフードの取り組みは、食の恵みを享受するガストロノモ(美食家)を取り込み、ピエモンテ州の外国人旅行者数は、2006年の1,325,894人から、2015年には1,883,983人と約42%増に躍進しました。
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