いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
谷中の街づくリ
江戸時代からの寺町。
日暮里駅近郊の台東区谷中は、震災・戦災での焼失も少なかったため、明治・大正・昭和の町家や長屋、路地などが残り、緑豊かな江戸の暮らしが今に生きる街です。
1980年代頃までは、発展から取り残されたとも言われてきましたが、この街のヒトたちは、街の良さを生かす様々な試みを重ねてきました。
このため、2000年代頃からは、谷中に住みたい!行ってみたい!と、いったヒトたちが増えています。
では、そのきっかけになった取り組みとは?
街の文化を掘リ起こす
1970年代は、コミュニティセンターをつくることを含めた"コミュニティ活動"を始めます。
1980年代は、"菊まつり"や"円朝まつり"など、地域の特性を生かした"まつり"が始まります。
街かど活用から波紋を広げる
1990年代には、有志が街中展覧会"芸工展"を始めます。
アーティストや職人のアトリエ紹介、空き家や空き地、寺院境内や民家の塀など、街の随所で作品展示やワークショップを行い、街中での自由な発信や交流の"場"を耕してきました。
点から面への街づくリ
"谷中学校"や"たいとう歴史都市研究会"などのNPOでは、明治・大正の町家や屋敷、銭湯、彫刻家のアトリエなどを借り受けます。
そして、その建物に相応しい姿、用途で再生し、住いや店、文化活動スペースとして街にひらいています。
例えば、
- 芸術文化活動の拠点"市田邸"。
- 文房具点から、シェア空間として生まれ変わった間口が三間ある"間間間"。
- 再デザインされ、喫茶店として活動を続ける"カヤバ珈琲"。
- 彫刻家のアトリエとして、その姿を現代に伝える"旧平櫛田中邸"。
などは、古民家再生活用のモデルとなり、体験したヒトが自分でも古い家を住まいや店、仕事場として活用し始めています。
昭和13年築の建物を、レンタルスペースとして再生した"上野桜木あたり"は、地域のヒト、訪れたヒトをつなぎます。
他にも、建物をリノベーションした"複合文化施設"や"まちぐるみ旅館"。
産地とつながる"お惣菜店"などは、街の新たな見方や動きを巻き起こしています。
街の未来を目に浮かべる
再開発の波の中で、谷中地区は、高層マンション計画を見直し"建築協定をかける"、"街ぐるみの防災対策を行う"など、将来の街並みを考えたり、建物や樹木の保存活用を行うなど、街の将来像を新旧住民が共有しながら、歩みを進めています。
歴史文化地区連携のすすめ
谷中の抱える課題は、全国の歴史文化ある建物や暮らし、生業を救いたい街と共通です。
歴史文化資源は地域の営みの証しであり、街への親しみの場、災害などの困難から立ち上がる時の拠り所ともなります。
谷中に限らず"歴史文化ある地区"を"守りやすい制度"や"活用事業づくり"が、各地域で不可欠になりつつあります。
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