いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
都市と自然との関係
CO2排出による気候変動を考えると、都市の影響を全く受けていない自然は、ほぼ無いと考えられます。
一方都市は、大気や土壌や水、そして周辺に生きる動植物と緊密につながっている限り、自然の一部として存在していることになります。
つまり、都市と自然とは適切なバランスのもとに共生しているため、エコロジーは、都市と自然との関係の中で考える必要があります。
微地形の生物多様性
5万分の1から 2.5万分の1の地形図上では、明瞭に表現されない小規模の起伏がある地形を微地形といいます。
恐らく全国のあらゆる場所にこのような地形はあるのだと思いますが、特に都市部では、この微地形の地表付近で循環している植物、土壌、水、気候などの自然環境が、生物の多様な生息空間をつくリ出しています。
同じように、その自然環境に左右されつつも、人間は自然の恵みを上手に活用しながら生活してきました。
エコという大きな観点では、あまリ重要視されない都市部の自然も、微地形スケールで捉えると、見えてくる風景が違ってきます。
例えば、河川の氾濫を植林によって食い止めるような、自然のチカラを都市の課題解決に活用することをグリーンインフラというのですが、近年では、防災の場において、このグリーンインフラの重要性が注目されています。
微地形は、都市と自然の新たな関係性をつくる上で、重要な切りロとなリます。
みんなの夢水路
微地形が生み出す生物の多様性に焦点をあてた、エコロジカルランドスケープの事例があります。
みんなの夢水路は、杉並区にある都立公園内の上の池と下の池をつなぐ約160mのコンクリート水路の改修整備です。
改修前は、管理柵等により公園内から水面の様子は見えず、生物の多様性が良く分からない状況でしたが、公園側の水路の護岸を撤去することで、杉並区内で唯一、自由に水にさわり、入ることができる水空間に再生できました。
さらに、水路の水が氾濫しないように行う護岸植栽では、樹木伐採で生じる採光の変化を考え、約 40種の苗木によって生態系環境の再生を試みています。
そして、最終目的である水路は、過去6年間の水位変化等のデータからその構造を決定しています。
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