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必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
共有の駐車場
ドイツのヴォーバン地区では、豊かな緑を背景に路面電車が走ります。
そして他の街では見られない最も大きな特徴が、自動車が停まっていないことです。
なぜなら。。ここヴォーバン地区では、個人で所有する土地に、駐車場の設置を禁止しているからです。そのため、住宅街への車の進入は、基本的にありません。
さらに、道路の設置方法も少し変わっていて、日本の街で良く見かける"マス目状"ではなく、安全優先で"通り抜け禁止"とし、幹線道路に対して"コ"の字型に、設置されています。
つまり必ず元の幹線道路に"戻ってくる"構造になっているのです。
通り抜けできないため、地域に関係のない車は走っておらず、宅配などのためにやむを得ず住宅街に入ってくる車両はありますが、大前提として、徐行と歩行者優先が義務付けられ、日常的に子どもたちが遊ぶことができる"遊びの道路"と位置づけられています。
なので子供たちは、家の前の道路を使って、のびのびと遊べるのに加え、地域住人のコミュニティ空間としても機能しています。
一方、ヴォーバン地区を含む"州の法律"では、住居を建設する際、1世帯につき"最低1台分"の駐車場の設置が義務になっています。
では、駐車場設置を禁止しているヴォーバン地区で、自動車を所有しているヒトは、どうしているのでしょうか?
街の"景観・安全"と駐車場という"必要機能"の話のため、住民間でも意見が割れます。
このため、時間をかけながら住民と行政が意見を交わし、最終的には、居住区内に駐車場をつくることを禁止する"カーポートフリー地区"とし、車所有者たちで、地区の端、数箇所に、"立体駐車場"を設置することになりました。
さらに、車を所有しない住民たちは、市と"独自の契約"を結び、駐車場を購入しなくてもよくなりました。
さて、車の利用者は、住居と駐車場に距離があるため少し不便になるように思えますが。。どうやら違うみたいです。。つづく。