いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
場所づくりを3Dによるビジョンの共有から始めることで、確かな結末にたどり着くためのより良い道筋が現れます。
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エリアリノベーション
一般的にリノベーションとは、ひとつの敷地での取り組みが多いと思いますが、複数の土地が面として広がるエリアで、複数箇所のリノベーションを関連させることができれば、それは街として地域への影響をもつことになります。
つまり、点から点で線、線を結ぶと面になるように、単体の建築から街へと連続する再生方法を探ることがエリアリノベーションの可能性を探ることにつながるということです。
歴史的街区の崩壊
約40年前、埼玉県川越市では良好な景観を維持するために、街並みのデザインコードという基準を設置していました。
この時、蔵造りで有名な川越の町家を7 軒分モデルとして選択し、歴史的な街並みが、部分的なビル化によって、崩壊していく様子が示されました。
これは例えば、個別の事情により歴史的な街並みの一部が二階建て文化住宅へ変化し、その後、複数を合併した土地に、集合住宅が建つことで、街並み景観に駐車場としての歯抜け空間ができてしまうといったものでした。
街並みをつくる町家の造りは、まず道に面して、店舗を蔵造りにした店蔵と呼ばれる店舗部分があり、その奥に住居があります。
さらに光と風が通り抜ける中庭を挟んで、倉庫としての蔵があります。
江戸時代以来、近年まで、このゾーニングが守られることで、町家の環境が美しく快適に保たれてきました。
このような歴史的な町家エリアの隣家がビルに建て替わることで、陽当たり・風通し等の住環境が悪化して、町家は住宅としての魅力を失い始めます。
商業専用であればまだ良いのですが、環境悪化により、もともとあった居住空間がうまく機能しなくなると建て替えが進行します。
さらに店舗機能も失い空家が増加すると、その区画は隣接区画同士が併合し、2~3区画合わせた大きな用地となり、そこにビルが建つことで、影が周辺の町家の崩壊を加速させてしまいます。
街並みの魅力
このような理由により川越の一番街は、1999年に伝統的建造物の保存地区の指定を受けて、町家の崩壊を食いとめる法的な制度に守られることになります。
川越は、歴史文化・産業交通・気候風土・コミュニティなどの好条件が揃っていたため、多くの歴史的建造物が残り評価され、新たな発展の道を歩むことができたのです。
古くからの商店街は、歴史的な町家街区に起源をもつものが多いのですが、商業力の高い地区ほど早くビル化が進むこともあり、全国の町家街区の多くが崩壊の道に進むことになってきました。
近代的なビル街に発展を遂げた市街地の周囲には、低層の市街地の広がりがあり、その中の旧街道沿いに、点々と歴史ある建物を見つけることができます。
このため、間口に比べて奥行きが極端に長い区画割が道沿いに並んでいる様子は、江戸時代にまで遡ることのできる町家の遺構であることが判ります。
当時の町家は無くなっても土地の形状から歴史を想像することができるのです。
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