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必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
ドイツ・フライブルク市・ヴォーバン地区
環境先進国といわれるドイツ。その南西部に位置し、人口約20万人のフライブルク市。
環境にやさしく、低床式車両の活用により乗降を容易にするLRT(次世代の路面電車)の採用や、自転車を優先し、自動車の乗り入れを規制した、交通政策の実施などで有名になった街です。
そして、このようなエコの導き役となったのが、市の南に位置するヴォーバン地区です。
東京ドーム約8個分にあたる38haのヴォーバン地区は、もともと戦後駐留していたフランス軍の兵営地で、1989年。ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終わると、ドイツに返還された場所です。
市の中心部に近く、当時、人口も増加中だったこともありフライブルク市が、新興住宅地として分譲開発を決定します。
1997年に工事が始まり、約10年かけて2007年に完成するのですが、フライブルク市は当初、兵舎だけでなく、樹木までも伐採し、まったく新しい住宅地をつくる構想でいました。
しかし、これに市民が猛反発します。市議も賛同して、住民主導で街をつくることになります。
毎度のことですが、徳島県の神山町。アメリカ・ポートランドなど。いま注目されている街というのはことごとく"住民主導"です。良い意味で、人任せにしないのですね。
街づくりを開始するにあたり、まず、住民から"ソーシャル・エコロジー"というコンセプトが提案され、結果的には
- 住民参加型の学びながら進化する街。
- 太陽光発電など再生可能エネルギーによる省エネ。
- 公園と道路、住宅を結ぶ"緑"構想。
など各分野において"持続可能な社会"を構築するための新しい取り組みが行われることになります。
この中でも個人的に面白いと思うのが、購入した敷地に駐車場設置を禁止し自家用車を極端に減らすことで、自転車と徒歩交通を推進する"カーフリー構想"といった取り組みです。