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3つのテラスの関係

テラスやバルコニーのように、ヴィラに半屋外をつくる典型的な方法として、ロッジア、アーケード、パーゴラ等があります。

ロッジアとは涼み廊下とも呼ばれ、外から見た時に、片側の側面に柱で支えられたアーチ状の開口部が並ぶイタリアで生まれた建築意匠の一種です。

アーケードとは、屋根付きの商店街のことを思い浮かべるひとも多いと思いますが、、本来は、柱で支えられる連続したアーチ状の屋根などを指します。

そしてパーゴラですが、公園にあるウンテイのようなカタチをしており、日陰棚としての藤棚などが有名です。

ヴィラ・メディチ・フィエゾレでは、この中でもフィレンツェへの眺めにとって、パーゴラが重要な役割を果たしています。

まず3階建ての各階で、フィレンツェの街方向に開かれた場所の内、1階から2階テラスへ繋がる半屋外のスロープ部分にパーゴラがかかっています。

しかし、最上階の3階は、邸宅内のテラスからの眺望となります。

これは、3箇所のフィレンツェ方向に開かれた場所の内、1、2階は来訪者が自由に歩き回ることができ、3階は所有者のためのテラスであることを示しています。

パーゴラは植物に覆われ、ここでは夏の日差しを避け、涼しい日陰から庭園とその先に広がるフィレンツェの風景を眺めることができます。

1階のパーゴラ部分の始まりと2階の終わり部分の二か所には、重厚な門の様な壁に挟まれているために、通路としての役割とともに、留まっていても心地の良い空間となっています。

また、2階の終わり部分にある重厚な門の様な壁の開口部を通しての眺めが、一枚の絵のようで、門をくぐった2階のテラスからはパノラマの眺望が設定されています。

つまりパーゴラは、単なる日陰の通路ではなくこの場所に無くてはならない、循環装置となっているのです。

シャルディーノ・セグレート

3階の邸宅内のテラスは、ジャルディーノ・セグレート(秘密の庭園)として、プライベート性の高い空間になっています。

ヴィラ・メディチ・フィエゾレでは、1,2階からでも3階のテラスの存在は感じられますが、邸宅に入らなければ、その様子を理解することはできません。

この場所は、他のテラスとは全く異なり、スロープや重厚な門の様な壁によって起伏がつくられ、見えにくくなっているのです。

つまり、同じフィレンツェの街を望む場合でも所有者と来訪者のための眺望を明確に分離していたと考えられているのです。

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