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街並み
鹿児島県を中心に点在する麓(ふもと)集落の街並みは、その場所の歴史や地形に沿った色々な景観がありますが、大きく2つに分類できます。
ひとつは、江戸幕府前の街で、街路が湾曲し変化に富んだ自然地形型で、もうひとつが、江戸幕府が開かれた後に整備された街で、まっすぐな街路により構成さた計画的型です。
街路は馬場とも呼ばれ、武士が訓練のために馬を走らせた広い道で、そこから枝分かれした人の通る細い道を小路(しゅっつ)と呼びます。
馬場は屋敷のある土地より低く、境界には石垣を土台とした生垣が連続し、その並びに武家門などが設けられました。
このような馬場は、明らかに人の手によって整備されており、中国からの土木技術によって、治水や測量等が行われていたと考えられています。
石垣と生垣
また馬場の石垣は、近くの石切場で採られることが多く、一般的には、火山灰などから成る堅固な地層がある場所では切石積み、それ以外の場所では野石積みとなっていることが多いです。
一方、場所によっては多様で、花崗岩が採れる地域では御影石、海の近くでは珊瑚の石垣などが見られます。
生垣の樹種は、イヌマキや竹、茶など、こちらも地域により異なります。
この生垣は、各敷地の馬場側にだけでなく隣地側にもあるため、台風からの防護や防火対策としての役目も果たしています。
また、腕木門のほとんどが、台風対策で引戸となっており、門を支える控柱に石材が使われていることから地域の風土が景観に関係していることが伺えます。
国内の伝統的建物保存地区の武家町は18カ所ほどありますが、いずれも街路に面して生垣や塀が連続しています。
しかし、鹿児島の麓(ふもと)集落の武家町のように、宅地より低い位置にある街路の両側に石垣を土台とした生垣が連続しているような構成は少なく、地域独特な景観となっています。
これは馬場を整備したことが深く関わっていると考えられ、必ず馬場と主屋の間に庭があり、馬場の視線からは屋敷は見えませんが、馬上からはある程度伺い知れるような関係性でつくられているのです。
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