歴史地区保護の失敗
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
歴史的に価値あるものを"遺産"として、
どのように扱うべきなのか?
歴史は、
色々な"失敗"から学ばしてくれます。
1960年代頃。
ドイツヘッセン州の"アルスフェルド市"では、
戦後の"歴史地区の再生事業"の取り組みが始まっていました。
具体的には、
老朽化した歴史的建造物の"街路側の表面"だけを残し、
表面以外は取り壊して"新しく造り変える"。
というものです。
この手法での都市再生事業は、
その後、
欧州の中で"再生モデル都市"として選定されます。
このため、
ハーフティンバーの建造物を"保護する予算"も組まれ、
70年代後半の5年間で、
約90件もの歴史的建造物が保護されることになりました。
事業が"評価"された背景には、
歴史的建造物に、
適正な評価と保存及び活用のマネージメントを行う
ヘリテージマネージャーと
まちづくりの中で、
住民間同士で問題解決をして行く際の
補助役としての
コミュニティアーキテクチャーの
存在があります。
ところが。。
老朽化した歴史的建造物の"街路側の表面"だけを残し、
表面以外は取り壊して"新しく造り変える"。。。
という、
1970年代当時は"正義"だった手法なのですが。。
1980年代にはいると、
推進していた"市民代表"が、
都市再生事業の"中止"を表明し、
中断してしまいます。
その理由は、
通気性のない塗料を表面に塗ったため"木部が腐る"。
といった、
修復に"化学物質"を"安易に使った"ことなどが、
あげられます。
このことが原因で、
初期に修繕・修復した建造物は"負の遺産"となってしまい、
その後自治体は、
総合的な整備事業を展開できなくなり、
デザインコントロールを、
うまく行うことができなくなってしまうのです。。
。。つづく。