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日干しレンガの塔の家
中東アラビア半島。
サウジアラビアの南側に位置するイエメン共和国。
この国の首都サナアは、志賀高原のスキー場と同じくらいの標高2,300mと、高原地帯にある盆地に位置しています。
このため、年間平均気温は25℃。
冬の早朝には氷点下まで気温が下がることもあり、湿度は一年中低く、年間降水量は東京の3分の1、500mm以下です。
雨季は3~5月と8月~9月にもありますが、降ったとしても、午後に数時間だけのようです。
この街は、世界最古のひとつとされ、伝説では、ノアの息子セムによって街がつくられたと言われています。
また、大きく"旧市街"と"新市街"に区分されていて、"旧市街"は、中世から続く街並と東西貿易の商の都市としての面影を残す一方で、首都に選ばれたことをきっかけに、"新市街"では1960年代から開発が始まり、人口の流入を受け無秩序に拡大していくことになります。
2つの内、"旧市街"と呼ばれる地域は、かつての"城壁"である、約1km四方の古い"市壁"囲まれ、約6,400棟の住宅があり、約5万人が暮らしています。
塔状の建物
サナアの人が住む家の多くは、縦長の直方体のかたちをした塔状の建物で、その高さは、3階建てから9階建てまでと様々です。
塔状住宅が発達した理由は3つあります。
第1の理由は、どこの国でも見られる現象ですが、人口増加により土地を有効に活用するために、住居を高層化したことにあります。
第2の理由は防衛です。
かつてイエメンでは、部族間の争いがしばしば起こっていたため、外敵の侵入を防ぎやすい、塔状の家にしたのでした。
そして、第3の理由は、女性を他人の視線から守るためです。
アラブ・イスラム世界では、女性の姿を家族以外の男性の目にさらすことは避けなければななず、外部からのぞきにくい塔状の家は、サナアの女性にとって安心して暮らせる空間になっているのです。
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