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トゥルッリ
よくブーツにたとえられるイタリア半島。
プーリアは、ブーツの"かかと"にあたるサレント半島にあり、東はアドリア海。南はターラント湾に面した州です。
プーリア州のアルベロベッロには、トゥルッリと呼ばれるとんがった円すい型ドームの屋根が印象的な家があり、その美しい景観から1996年に世界遺産として登録されました。
トゥルッリの壁は"内部の切石""中間部の細かい石""外の仕上げ石灰岩"の3層構造になっているため厚く、0.8~2mほどにもなります。
この厚い壁には、外側も内側も白い石灰が塗られており、紫外線を防いだり外気をしめ出したりして家を保温する役割をもっています。
一方、厚い壁は外からの光を取り込みにくく、部屋は暗くなりがちで、暑さを避けるため、入り口や窓は小さく、少ないつくりになっています。
それにもかかわらず、家の中に入ると明るく清潔な印象を受けます。
これは、まっ白な壁が、暗くなりがちな部屋を明るく広く感じさせてくれるからなのです。
役割
トゥルッリに似た建物は、地中海沿岸のいくつかの地域に見られます。
このことからも、トゥルッリはこの地域独自のものではなく、他の地域の影響を受けて、今のような"住居形式"になったと考えられています。
諸説がありますが、ギリシアの古代文明がさかえたクレタ島から伝わったとする説が有力で、「トゥルッリ」の語源は、ギリシア語で「ドームの形を持つ円形の建物」という意味の「トロス」だそうです。
古いトゥルッリの多くは、円い形をしていて部屋も1つか2つほどで、これらのトゥルッリは畑の中に建てられていて、農家の小屋としての役割を持っていました。
また、アルベロベッロの周囲では、いくつかのトゥルッリを合わせて、1つの建物にしたものが見られます。
これらはブドウの収穫期だけに使う季節用の家や、定住型の民家として使われています。
部屋が4、5室以上ある本格的なトゥルッリの民家は、外壁は円い形ではなく、直線的で規則的な形をしています。
しかし、外壁の形がそれぞれ違っても、とんがり屋根と石の白い壁は共通しています。
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