いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
骨格としてのマスタープラン
マスタープランを、ある領域のあり方を構想することとします。
すると例えば、いまから120年前にE.ハワードにより提唱された田園都市や90年前にコルビジェにより発表された輝く都市のように理想都市の意味にたどり着きます。
理想都市とはいっても、E.ハワードの提唱は、イギリスの田園都市レッチワースに反映され現存していますし、コルビジェの発表は、人口増加による生活環境の悪化を解消するために建物を上にのばし、地表面を広く使えるようにするといった20世紀の都市として、こちらも世界中に現存しています。
特に、1933年にCIAM(近代建築国際会議)で採択されたアテネ憲章は、コルビジェにより発表された輝く都市の理念に沿ってつくられています。
つまり、そこでは理想とする社会や都市をユートピアとして描きながらも、空間を分類・再構造化など、多くの要素を幾重にも重ねながら現実的なマスタープランがつくられてきたのです。
このため理想都市は、それぞれの時代の理想や価値、その構造や仕組みが、図形として示されることになるのです。
ランドスケープ
ランドスケープの計画でも、マスタープランは重要です。
19世紀ドイツの造園家ペーター・ヨセフ・レンネは、ポツダムのプロシェクトで、都市のランドスケープを計画した際、3kmにわたる中心軸のみをマスタープランと位置づけました。
その後、多くの施設がその軸を中心に配置され、街が活性化したとされています。
基本的な構造を明確で強固なものとすれば、将来多様化・複雑化する環境にあっても安定したランドスケープが実現されることを先駆的に示す事例として知られています。
ランドスケープでは、人間と自然の関係性に比重が置かれますが、とてもシンプルな骨格があれば、複雑で多様な自然や社会が、未来で起こるであろう、成長や変化を許容することを可能とします。
この骨格が、マスタープランであリ、都市や地域に実態的な形態を与える大きな源になるのです。
時間軸
さらに、時間軸を設けることによリ、空間だけではなく時間の拡がりを体系化する役割を与えることを可能とします。
都市や社会の理想は、時代の変化に伴い変わリます。
様々な社会課題がある中で、現在の理想を明確にし、視覚化された骨格をつくることは、多くの人と価値を共有できる未来のランドスケープを実現するために、必要不可欠なのだと思います。
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