いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
お知らせをさせてください。モデリング😊に「4つのコース」を設置しました。ご興味ある方は、下記URLからご覧ください。
2つの課題
いま、緑地による土地管理に期待が高まっています。
これは、現在の人口減少時代の緑地は、大小様々な土地で、新たな利用を多様な形で実現できる可能性があるからです。
一方で需要の低下があるのも事実です。
近年の街中における公園再生なども新たな利用方法の一環で、緑地空間にも様々な角度からのマネジメントが求められています。
このように現在の緑地空間は、新たな可能性を模索することに加え、それ自身をいかにたたむかという2つの課題に同時に直面しています。
2つのガーデン事例
- 1つは、首都圏郊外の住宅地で、大学と近隣住民が協働で運営するコミュニティガーデン。
- もう1つは、東日本大震災で街の中心部全体が災害危険区域に指定されたため、大規模な土地利用の変化が生じた地域のガーデン。
首都圏郊外のコミュニティガーデン事例
大学近くの住宅地に位置する市所有の空き地を利用したもので、敷地は約300㎡(約90坪)ほどです。
ここは、15年ほど前に大学の地域貢献活動の一環として始まった場所で、当初は、土地利用の方向性が十分に固まっておらず、雨水タンクを設置したり、野菜や果樹を植えるなどの試行錯誤を行っていました。
ガーデンの運用には、大学の学生、自治会、地域の子ども会と、多様な世代構成となっています。
当初は大学と市で協定を結び、大学が土地を無償で借り、コミュニティガーデンとして利用する形式をとっていました。
当初の植栽は大学の地域貢献予算等を活用し、その後は、市の花の愛護団体に登録し、市から季節の花苗を無償で提供を受けるようになります。
堆肥などは大学内の落ち葉を利用し、大学、自治会、子ども会の各団体が緩やかに繋がりながら活動を続けていました。
たたむ検討
東日本大震災に伴い発生した原発事故により、千葉県北東部の自治体が放射線の影響を受けたことが引き金になり、ガーデン開設から4年後の2011年に、たたむことを考える状況に直面します。
放射線は地面に近いほど数値が高くなるため、十分な配慮が必要になります。
原発事故が2011年3月に発生し、ガーデンのある地域が汚染状況重点調査地域の指定を受けたのは、2011年12月のことでした。
このため2011年3月から12月までの9カ月間は、安全かどうかの判断ができない空白期間となりました。
調査地域に指定された自治体の都市公園では、表土を削り取って同敷地内の汚染されていない土壌と入れ替える「天地返し」という作業が行われました。
しかし、ここは都市公園ではないため除染事業の対象外であり、ガーデン活動の継続については意見が分かれました。
特に自治会の継続意向が強かったことと、ガーデンが住宅地内にあり、地域住民や子ども会との調整が取りやすいこと等から、自治会が主体となり活動の継続や休止について判断し、大学は活動をサポートする立場を取ることとなりました。
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