いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
お知らせをさせてください。モデリング😊に「4つのコース」を設置しました。ご興味ある方は、下記URLからご覧ください。
たたむ判断
東日本大震災に伴う原発事故により千葉県北東部の地域が、2011年12月に汚染状況重点調査地域の指定を受けます。
ここは、除染事業の対象外であったため地域のガーデン活動の継続については、意見が分かれることとなりましたが、自治会の継続意向が強かったこともあり自治会が主体となり活動の継続や休止について判断することとなりました。
たたむ決断
活動の継続について迷っている間は、公式の活動は行わず、近隣住民から苦情が出ない程度の除草作業を不定期で行っていました。
しかし、活動範囲が狭まったことによりガーデン内で雑草が激しく繁茂し、徐々に手作業では管理困難なレベルにまで達します。
この間、雑草が比較的少なく線量も低い安全なエリアに活動範囲を絞ったりしたりと、工夫をして活動は継続されます。
その後、最終的にガーデンをたたむきっかけとなったのは、開設当初から活動を牽引してきた自治会長が2018年に交代したことです。
自治会にはガーデン以外にもさまざまな活動があるため、なかなか全てに対応することが難しい状態でした。
このため土地借用協定が大学と市のままであったことも含めて、運営体制の立て直しのために一旦ガーデンをリセットしたほうが良いと判断され、2019年8月に終了イベントと共に、12年間活動が続いたコミュニティガーデンをたたむこととなりました。
一方で、初期に植栽した小さな苗木は立派な若木になり、雑草の根も深く伸び、植物の撤去は専門業者ではないと対応不可能な状態でした。
さらにガーデン内には、多くの方から寄付して頂いた多種多様なエクステリアがあり、現状復旧は人力のみでは、難しい状態となっていました。
被災地に形成されたコミュニティガーデン
別の事例として、宮城県北部に位置する雄勝ローズファクトリーガーデンがあります。
ここは、東日本大震災後に津波で大規模な被災を受けた低平地に、地域住民やボランティア、専門家の協働で創造・運営に取り組んでいる場所です。
雄勝ガーデンは、東日本大震災で大きな被害を受け、全域が災害危険区域に指定された石巻市雄勝町の旧中心部に位置します。
約5,000㎡のガーデンは、400世帯以上が被災し街の中心部にあり、1人の地権者が敷地内で亡くなった方を弔うために花を植える小さな活動がきっかけとなった場所です。
その後、地元住民やボランティア・専門家などの支援や繋がりを得て活動は大きく展開し、震災から約2年半後の2013年10月に雄勝ローズファクトリーガーデンとして正式なオープンを迎えます。
緑は誰もが参加できる説明不要の媒体です。
このため空き地を緑地として、すぐに利活用したくなりますが、一方で良い状態で持続させることは趣味の延長線上ではできません。
緑地空間の維持にはコストもかかるし、公の空間であれば、多様な主体との合意が必要になるため、体力や技術、忍耐も必要となります。
そして何よりも、単なる空地の利活用ということに留まらない明確な目的が不可欠です。
ビジョンがあることによって、場所に意味を与えることが可能となるのです。
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