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宮城県美術館

ル・コルビュジェに学び、戦後の日本で活躍した建築家、前川國男。

上野公園入口にある東京文化会館(1961年)などが、手がけたところの有名な建築物です。

その前川氏設計による宮城県美術館には、県民のための貸しスペースがあります。

過去に、このスペースでの展示会に出展となった小学生が、実際にこの場に訪れたところ自分の絵がないと嘆いたことがあったそうです。

実は展示されているのに、こんな立派な絵ではないと見違えたとのことでした。

広く憧れを集めるこの美術館には、多くの人々の思いが詰まっています。

醸成価値

醸成とは、もともと原料を発酵させるという意味がありましたが、ここから転じて、時間をかけてある状態を徐々につくりだすという意味で、使われるようになりました。

近年の建築物や街のサスティナブルには、この醸成価値も含まれるのではないかと考えられます。

つまり、カタチあるものには、時間とともに無形の価値が生まれるということで、愛着や歴史文化と表現されることが多いです。

スクラップ&ビルドが繰り返される都心部を除けば、人の住むほどんどの場所に、新旧多様な資産が混在しているため、もちろん新しいモノにのみ価値がある訳ではありません。

例えば、観光客などは、その場所の個性を求めてやってきます。

毎日磨かれる地元のお店、清められた道端や庭先、手入れの行き届いた田畑など、時間をかけ日々を重ねていくことによって、場所は醸成されていきます。

モノは経年劣化していきますが、持続はそれ自体、社会的価値の可能性を秘めています。

このような醸成価値が広く認知されるためには、街や建築物が持続可能な状態にあることが大事ですが、同時に、このような認識をどんな人とどのように共有していくかにかかってくることになります。

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