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必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。

車以外の移動手段

ドイツのヴォーバン地区では、持続可能な街を実現するため、地域の端に数箇所の立体駐車場をつくり、居住区内に駐車場設置を"禁止"するといった、ユニークな制度を取り入れています。

これは、居住区内には車が走らないことを意味し、自家用車を所有するヒトにとっては、住居と駐車場に"距離"があるため、一見不便に思えるのですが。。どうも違うようです。

まず、アメリカのポートランド市にみたミックスドユースの考え方同様、利便性と雇用を生み出すため、幹線道路に面した"建物の1階"は、すべて店舗を配置しています。

このため日常品の買い物は、徒歩圏内で済ませることができ、自動車がなくても不便にならないように整備されています。

そして、フライブルク市の中心まで、約15分で結ばれている路面電車やバスなどの"公共交通機関"が、とても良く整備されていて、幹線道路沿いに設置された数箇所の停留所は、駐車場までより距離が近く便利です。

このため、居住者による高頻度の公共交通機関利用は、その運営も良好にし、電車の運行間隔を数分に1本と、短くすることができ、結局ほとんど"自家用車"を使わなくても便利という現象が起きています。

また、週末などは深夜を通しての運行もあるため、日本のように終電に慌てたり、飲酒運転の防止にもつながっています。

さらに、これだけ頻繁に走る路面電車なので、騒音防止のため、線路内まで緑化され、芝生が植えられています。

加えて、自動車の騒音対策として、幹線道路沿いには、大きな商業施設を防音壁として配置し、音の計画もされた快適な住宅地を形成しています。

路面電車以外でも、自転車の"専用道路"が整備されていたり、自家用車を所有しないヒトが、車を必要とする時には、カー・シェアを利用することも出来ます。

日本でも、街づくりが高く評価されている千葉県佐倉市の"ユーカリが丘"ではモノレールが走っていますが、そろそろ、地域での移動手段の選択肢を増やしたほうが良さそうです。

何かを我慢している訳ではなく、いまあるモノを地域共有(シェアリング)の資産として認識し、より良く活用ていくことはこれからの日本の街にも欠かせない考え方だと思います。

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