いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
40分無料!簡単Zoom質問予約
https://app.aitemasu.me/ev/gfrknztd6oct
標準レベル
BIM成熟度レベルを0~3の4段階で示すグラフがあります。
最高のレベル3ではプロジェクトごとに、複数の担当者でデータの同時共有が可能になりますが、英国では業界全体で、この状態がスタンダードになりつつあるそうです。
具体的には、意匠・構造・設備の各チームが同じソフトウェアを使用し、週末に統括マネージャーにBIMモデルを提出、週明けに干渉チェックのフィードバックが行われる。
これは、国際標準のISOに即した情報伝達サイクルを行っている状態だそうです。
BIMの現状
一方、英国でも業界全体でBIM推進に向かっているかというと、すべてがそうではないことも事実です。
デザインを主軸に行う設計事務所では、いかに良いデザインを提供できるかが重要となり、クライアントとの意思確認のために3Dや解析ソフトを駆使しています。
つまり、デザインを引き継ぐ委託先で、BIMが適切に導入できていれば問題がなく、特に活用しない選択肢も存在しています。
BIM普及の背景
英国では政府主導のBIM推進が引き金となり、大企業がそれに準じる形で普及に拍車がかかりました。
このためBIMに関わる人が増加し、マネージャーなどの職種も普及したのですが、急激な推進の背景には、BIMを使用しないと公共事業に参入できないために必要に迫られ舵を切った企業も多くあったそうです。
しかし何故、政府主導だからといって高い普及率となったのか?
英国には、自国の利益を守る独立した専門職能として、QSと呼ばれる職能が古くからあります。
QSとはQuantitySurveyorの略で、日本語では「建築コスト管理士」などと呼ばれ、各プロジェクトで、工事費積算、スケジュール・リスク管理、発注調達、契約管理などを行う全体を統括する役割を担うとても重要なポストとなっています。
このQSによる適切な資産管理が、BIM普及の引き金になったのではないかと言われています。
具体的にQSは、プロジェクトの発注者側での役割を担う場合が多く、つまり、公共事業でBIMが普及した背景には、行政側(発注側)でQSがマネージャーを担っていたことが大きな要因ではないかと考えられます。
これを裏付ける現象として、最近では、クライアント向けのBIMのセミナーに、多くの参加者が集まるそうです。
次の段階
英国では、建物を建ててから使い続けるための維持管理費など、すべてのライフコストから見た時に、建設費と解体は全体の8%ほどで、残りの92%が光熱費や維持管理費などのファシリティというデータがあります。
一方、日本ではとりわけイニシャルコストが高く、最初の建設費が全体の30%ほどになるそうです。
英国では今後BIMの活用により、建設から数十年間の資産管理をより適切に行うことが目標になると考えられているのですが、全体を考えた時、日本での建設費の考え方も少し変わってくるのではないかと想像されます。
≪ 1級建築士事務所 長尾景司アトリエ ≫ 長尾景司 ≪